平和のともしび

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平松良夫 牧師

 

平和のともしび

平松良夫

マザー・テレサというひとりのシスターから始まった「神の愛の宣教者会」の活動が、世界に広がっています。いろいろな事情で、社会ばかりか家族や友人たちからも見捨てられた人々、たとえば路上で息を引き取ろうとしている人々、ハンセン病を負う人々、孤児たち、その日に食べる物もない貧しい人々などのために、深い愛に満ちた心遣いがなされています。

 

そのマザー・テレサがこう語っています。「私たち人間にとって最も悲しいことは、貧しかったり、病気や空腹で死ぬことではありません。本当に悲しくつらいことは、皆から見捨てられて、自分はこの世にいらない人間だと思い込むことです。この世で最も悪いことは、そういう人たちに対する思いやりや愛が足りないことです」。

 

見捨てられているとは考えなくても、まわりの人たちから大切にされているようには思えないということなら、私たち自身、日々の生活の中で多かれ少なかれ味わっています。病気になったり、仕事や人間関係がうまくいかない時などは、特にそれが身にしみて感じられます。

 

友人たちとの関係も、残念ながら状況によって変わることがあります。悲しいことに、家族との関係でもそうです。さらに自分自身のことさえ、望みが持てず、見捨てたくなることがあります。

 

イェス・キリストがこの世に人としてお生まれになったのは、私たちが、いつも変わらず惜しみなく注がれる神様の愛のうちに、自分を見いだすためです。そして、どこかでその愛にふれた人が、まわりの人たちをかけがえのない存在としてあるがままに受け入れ、大切にするようになる。その愛の火が、クリスマスの礼拝で次々にともされるろうそくの火のようにあちこちに広がって、一人ひとりの心に深い慰めと安らぎ、生きる喜びと希望を与え、この世界を真の平和に向かってゆっくりと、しかし確実に変えていくのです。